前半 突進する帝京大・青木恵斗=秩父宮ラグビー場 (撮影・山田俊介)
第61回ラグビー全国大学選手権決勝(13日、早大15-33帝京大、秩父宮)帝京大の勝利に対する執念はすごかった。体の強さという武器を、攻撃時に集中させるこだわりを見せつけた。昨年の決勝の評論で「『これが帝京大のラグビーだ』というものが、確固としてでき上がった」と書いたが、それをさらに進化させたように思える。
対抗戦で早大に敗れたことも、闘志に火をつけていた。早大は開始直後から、帝京大の圧力のすごさに面食らった感じだった。その後、冷静に自分たちの形を取り戻して2トライを奪うなど反撃に成功したが、風上の後半に、その圧力の前に抑え込まれてしまった。準決勝後の評論で、帝京大は早大ゴール前で戦うシチュエーションを、どれだけ多くつくれるかが鍵とみたが、実際5トライのうち3トライは、相手ゴール前でFL青木、LOダウナカマカマらがキャリーの強さを生かして取り切ったもの。こだわり続けた結果がスコアにも表れた。
青木や早大HO佐藤、同FB矢崎ら、日本代表に呼ばれる大学生が多くいた1年だった。他の大学からも、高みを見つめる選手がもっと出てほしい。世界では21~22歳でテストマッチに出場する選手がゴロゴロいる。日本ラグビーを担う気構えで日々の練習に取り組んでほしい。(元日本代表WTB、7人制チーム「サムライセブン」代表、日本スポーツ教育アカデミー理事長、明大OB)